子宮内膜症の基礎知識
2017年04月17日更新 2017年04月17日公開

子宮内膜症とは

子宮内膜症は、女性特有の病気です。女性であれば誰にでも起こり得る病気ですので、基礎知識を身に着けておきたいものです。ここでは、ドクター監修の記事のもと、知っておきたい子宮内膜症の基礎知識について学んでいきましょう。

子宮内膜症という病名を聞いたことがあっても、詳細まで知っているという方は多くありません。ここでは、その子宮内膜症についての基本的な知識や、病気を確定するときに行われる検査や治療法についてお伝えします。

子宮内膜症とは

女性の身体は、卵巣から分泌される女性ホルモンの「エストロゲン」によって子宮内膜を厚くして妊娠準備を整え、受精卵が子宮内膜に着床しなければ、はがれ落ちて経血とともに体外へ排出されるしくみとなっています。通常は、これが子宮の中で起こりますが、それ以外の場所で出血が起こると「子宮内膜症」となります。

ほとんどの場合が骨盤内にできるといわれており、できる部位によって呼び名が違うことがあります。具体的には、卵巣の内部にできる「卵巣チョコレート嚢腫」や、子宮筋層といわれる子宮の壁の部分にできる「子宮腺筋症」、「深部子宮内膜症」といわれる子宮と直腸の間にあるくぼみ(ダグラス窩)などです。これら以外にも、胃などの腹部の臓器の表面を覆う腹膜にできる「腹膜子宮内膜症」などがあります。

不妊の原因となることもある

子宮内膜症は、精子や受精卵の働きを妨げるだけでなく、身体が子宮内膜を異物ととらえて卵胞の発育に影響を与え、卵子そのものの質を低下させてしまうことから、受精率や妊娠する確率の低下につながるといわれています。ただ、子宮内膜症になると必ず不妊症になるというわけではありません。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症でみられる症状はいくつかあります。ここでは、代表的なものをご紹介します。

月経のたびに月経痛がひどくなる

月経痛は、子宮内膜症の症状の代表格です。子宮内膜症を患っている女性の約9割にみられるといわれています。卵巣などへの癒着が広がることで月経痛の痛みは増すといわれており、月経を重ねるごとに強くなるのが特徴です。人によっては、日常生活に支障をもたらすほどの吐き気やめまいといった症状を引き起こすこともあります。

性交痛・排便痛

「深部子宮内膜症」は、子宮と直腸の間にあるくぼみにできるため、性交時に膣の奥側で痛みを感じることがあります。ほかにも、直腸の癒着などがある場合、月経が起こっているときに排便をすると、肛門の奥側で痛みを感じたり、下痢をおこしたりするケースもあるといわれています。

この2点以外にも、月経期間中ではないのに下腹部痛、腰痛、股関節痛などの痛みや、発熱、吐き気、嘔吐といった症状をともなうことがあります。まれに、レバー状の血の塊が月経時に出ることもあります。症状には個人差がありますので、気になる異変を察知したら、検査を受けるようにしましょう。

子宮内膜症の原因

子宮内膜症を引き起こす原因は、いまだに解明されていませんが、月経血の逆流によって子宮内膜が卵巣などに癒着してしまうという「子宮内膜移植説」説がもっとも有力といわれています。タンポンを使用することで引き起こすのではないかと心配される方もいますが、その可能性は低いと考えられています。また、子宮内膜と卵巣や腹膜の細胞が似ていることから、腹膜になるはずの組織がなんらかの原因で子宮内膜に変化してしまう「体腔上皮化生」説もあります。

これら以外にも、閉経が近くなると子宮内膜症がみられなくなることが多いため、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが原因のひとつではないかという考えもあります。

子宮内膜症の検査

子宮内膜症は、問診やさまざまな検査で調べることができます。ここでは、検査の種類や、子宮内膜症と診断されたときの治療について説明します。

問診

主な質問項目は次のとおりです。答えられるようにあらかじめメモしておくとよいでしょう。

  • 婦人科系やそれ以外での大きな病気の経験
  • 現在飲んでいる薬の有無
  • 婦人科系の病気にかかったことがあるか
  • 初経の年齢と性交や妊娠の有無
  • 直近の月経について(開始日や期間など)
  • おりものの状態や経血量
  • 不正出血の有無

主な検査

問診後、子宮内膜症の可能性があると判断されると内診や、症状にあった検査を行います。

  • 内診

下腹部を圧迫して痛みや不快感があるか、卵巣の腫れなどが見受けられるかなどをみていきます。膣鏡(ちつきょう)などの器具を使用し、膣の中をチェックすることもあります。

  • 超音波検査

膣に超音波装置を入れて行う検査で、チョコレート嚢腫や子宮腺筋症の診断に有効とです。子宮や卵巣の大きさや、コブがある場合の位置などを見ることができます。

  • 腹腔鏡検査

子宮内膜症があるか直接見るための検査で、超音波検査やMRIでは確認しづらい小さな病変を見つけたり、病巣の広がり具合などをチェックしたりできます。確定診断に必要な検査といわれていますが、お腹に穴をあけて腹腔鏡を挿入することから全身麻酔する必要があり、身体への負担が大きい検査といわれています。

  • CT検査・レントゲン検査、MRI検査

いずれも身体の内側の断面を映し出して子宮や卵巣の状態を見るための検査です。MRIの場合、多方向から子宮を確認できるため、CT検査よりも有効といわれています。

これら以外にも、腫瘍があると血液に反応があることから血液検査を行ったり、子宮と直腸の間にあるダグラス窩を見るために直腸診などを行ったりします。ただ、これらの検査は、診断の補助として行われるケースが多いです。

子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療法は以下になります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

内分泌療法

子宮内膜症は、月経が繰り返られることで症状が悪化するという特徴があるため、月経が起こらないようにする治療を行うことがあります。これが内分泌療法で、大きくわけると3パターンあります。1つ目が、GnRH剤(スプレキュア・ナサニール・リュープリン・ゾラデックス)やダナゾールといった薬を用いてエストロゲンの分泌を抑制し、人工的に閉経のような状態にする「偽閉経療法」です。もう1つは、避妊薬としても使われているピルで排卵を抑えたり、子宮内膜の増殖を抑えたりする「偽妊娠治療」です。また、黄体ホルモンのみが含まれている薬(ディナゲスト)を継続的に服用することによって、偽閉経療法ほど女性ホルモンを枯渇させずに月経を止める治療を行いう場合もあります。いずれのホルモン療法も、投与中は妊娠はできません。治療を中断すると子宮内膜症が悪化する可能性があります。

手術療法

手術は、卵巣チョコレート嚢胞の大きさが5cm以上のときに行われることが多いとされており、お腹に小さな穴をあけて行う腹腔鏡手術か、お腹を開いて行う開腹手術のいずれかで行います。また、子宮腺筋症の部分だけを核出する手術を行う場合もあります。

対症療法

主に、痛みをやわらげるために、その原因であるプロスタグランディンの分泌を抑えるための薬が処方されます。多くの場合が鎮痛剤です。妊娠を希望されている方に施されることが多い治療法といわれています。

子宮内避妊具による治療

子宮内にホルモン付加子宮内避妊具(ミレーナ)を挿入することによって月経量を減らしたり痛みを軽減する治療です。もともとは自費で使われていたミレーナですが、過多月経や月経困難症の治療として保険適応されたため、選択肢の一つとして選べるようになりました。

子宮内膜症の予防

子宮内膜症は、自然治癒するケースもありますが、治療中であっても月経がある限り症状が進行したり、再発したりする可能性がある病気です。また、放置することで月経痛の症状が悪化するだけでなく、不妊の原因になる可能性がありますので、症状の悪化を予防することが一番の予防法と言えます。

再発の予防であれば、術後にピルや黄体ホルモン剤を服用して病変を抑えておくことが可能です。ただ、心配が少なくなるだけで、再発の可能性がなくなるわけではありませんので注意しましょう。また、完治が難しい病気といわれていますので、月経量を減らすことも予防法のひとつです。なかでもピルを使用して排卵を止めることで、月経が抑えられ月経痛がやわらぐだけでなく、内膜症の予防や進行を衰えさせる効果が期待できるでしょう。

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